『リトルマーメイド』原作ではエリックとバネッサが結婚?衝撃の結末
映画『リトルマーメイド』は数多くのディズニーアニメーションの中でも大人気作品!
でも原作『人魚姫』は悲恋の物語というのも聞いたことありませんか?
今回はリトルマーメイドの原作考察です!

ちゃんたま
リトルマーメイドの原作『人魚姫』とは?
『リトルマーメイド』はアンデルセン童話 ※グリムじゃない
作者は「アンデルセン童話」で有名なハンス・クリスチャン・アンデルセン。
アンデルセン童話には『人魚姫』の他にもディズニー短編アニメになった『みにくいあひるの子』、アナ雪の原作の一つでもある『雪の女王』などがあります。
一方で『白雪姫』や『ラプンツェル』などは「グリム童話」の方なのでまちがえないように!
個人的には、残酷なグリム童話に比べると、アンデルセン童話はライトでロマンチックな印象があります。
とはいえ、結局ハッピーエンドではないんですけどね……『人魚姫』には作者アンデルセンの人生が反映されているんです。
『人魚姫』はアンデルセンの失恋から生まれた物語
あとでくわしく書いていきますが、結論から言うと、原作では人魚姫の恋は叶いません(ずーん)
なぜかと言うとこの物語が作者アンデルセンの失恋を反映した物語だから。アンデルセンは自分の醜い容姿に自信がなく、失恋ばかりしていたそうです。
だから原作では、主人公の恋は叶わずに失恋で終わってしまいます。
さあ、気になる原作のあらすじを見ていきましょう。
『リトルマーメイド』ディズニーと原作を考察
『リトルマーメイド』と原作の共通点
- 人魚のお姫様は、人間のエリック王子に恋をする
- 水難したエリック王子を人魚姫が助ける
- 海の魔女に頼み、声と引き換えに足をもらう。王子様の愛が得られれば人間になれるが、だめなら恐ろしい結末が待っている
『リトルマーメイド』と原作の違い
アリエルは「セレーナ」という名前の人魚姫。由来は?
原作では、主人公の人魚姫は「セレーナ」と呼ばれています。アリエルではありません。
「セレーナ」はギリシャ神話の月の女神セレネ(Selene)に由来する名前です。一方「アリエル」は ヘブライ語で「神のライオン」という意味。また、ヨーロッパ圏では「空気の精霊」としてもアリエルという名前が知られているそう。これは原作の結末で、人魚姫が泡となって風の精霊になることに由来しているのかもしれません。
ディズニーは原作を大幅に変えることで有名ですが、意外なところで原作の要素を入れていたりもします。

ちゃんたま
かっこいい王様で良きパパ、トリトン王は出てこない
人魚姫は王国のプリンセスにちがいありませんが、トリトン王は出てきません。原作では王様の役割はきわめて薄く、代わりに6人のお姉さんたちが助言をくれたり大活躍します。
ディズニー版では逆ですね。リトルマーメイドでは、お姉さんたちは最初の歌で登場する程度ですが、トリトン王とアリエルの「父娘愛」がひとつの大事な要素になっています。
アースラは名もなき海の魔女
海の魔女はもちろん出てきます。が「アースラ」とは言われていません。また太ったタコというフォルムの描写もありません。アースラが普通の人魚だったらあそこまで強烈なヴィランズにはなっていないでしょう……。小さいころはアースラの恐怖に震えました(笑)
さて、ここまでの違いはささいなコトですが、問題の結末はどうなっているのでしょう。
原作『人魚姫』の驚愕の結末とは
エリック王子は命の恩人アリエルに気付かない
水難したエリック王子は人魚姫(アリエル)に助けられます。ここまではディズニーと一緒です。ところが陸にあげられた王子様を介抱したのは別の女性。人魚は陸に上がれなかったためです。
そのあと海の魔女に足をもらったアリエルは地上に出てエリック王子と仲良くなりますが、王子様はアリエルではなく「命を助けたくれた女性」に恋をしているとのこと。
これと似たあらすじはディズニー版にもありました。
この女性って……『リトルマーメイド』だと「バネッサ」ではないですか!?
命の恩人を装い、エリックと結婚しようとしたあの女性です。ディズニー版ではアースラが変身してこの女性になりすましていました。
バネッサとアリエルは瓜二つだった!?
王子様いわく「その命の恩人と君はうりふたつ」とのこと。ということで「その子と結婚できなかったら君と結婚するよ」と、なんと原作のアリエルはエリック王子にとってセカンドオピニオンの残念賞扱いwww
声がなくなっていて身元も知れないアリエルをお城に置き、親切にしているのだから優しいと言えば優しいですが「似ているからオッケー」というのはむごい。
そういえば、アースラが変身した美女のバネッサも容姿がアリエルに似ていました。あらすじは違えど、こんな背景があったんですね。
エリック王子は最後にバネッサと結婚する!?
『リトルマーメイド』では、命の恩人はアリエルだったとわかり、バネッサもアースラだったと正体が暴かれ、エリック王子はアリエルと結婚してめでたしめでたし……
ですが、原作ではそうはなりません。
原作の「バネッサ」にあたる女性は普通の女性で、海の魔女ではないし悪い人でもないのです。その女性は修道女(※結婚できない)かと思われていましたが、実は隣国のお姫様で、もちろん人間。エリックと結婚するのになんの障害もありません。
エリック王子は、なんの疑問もなく、その女性と結婚して幸せになります。
人魚姫は最後まで「命を助けたのが自分だったこと」も「王子様を愛している」ことも言えず、また、王子様をナイフで刺せば呪いが解けるとも言われましたがそれもできず、幸せな二人を祝福して泡になって消えてしまいました。
……以上が童話『人魚姫』の結末です。
悲恋ながらも美しさがありますね。
しかし、これをディズニー版として考えると、エリック王子はバネッサと結婚し、アリエルはそのまま消えてしまうんだから、セバスチャンもトリトン王もたまったものではありませんw
ディズニーが『人魚姫』にかけたハッピーな魔法とは
最後に、ディズニーがどうやって悲恋の物語『人魚姫』をハッピーな『リトルマーメイド』に変えたのかについて。そこには脚本だけでなく、監督やアニメーターたちの工夫も詰まっています。
アナ雪とリトルマーメイドの国が一緒?
作者アンデルセンは、デンマークの作家。ということで、アンデルセン童話は基本的に「北欧」が舞台になっています。
『アナ雪』では北欧の雰囲気がそのまま作品に反映されていますね。しかし『リトルマーメイド』では、物語の舞台ごと地中海寄りのあたたかく陽気な海に変更されました。
アリエルの髪色は燃える太陽のように明るく、性格もおてんばに。蟹のセバスチャンや熱帯魚っぽいフランダーを仲間に……こうやって明るい『リトルマーメイド』の世界ができあがっていったのです。
たしかに北欧の凍ってしまいそうな暗い海は、エルサにはぴったりですが、アリエルのイメージとはちょっと違いますね。
もしディズニーがリトルマーメイドを原作どおりにしていたら……
もし、ディズニーがリトルマーメイドの舞台を原作どおり北欧にしていたら、世界観はまったく違うものになっていたでしょう。
北欧の厳しい海で陽気な「アンダーザシー」の歌はないでしょうし、アリエルも無邪気に人間になって王子様を追いかけたりはせず “Let It Go” と言いながら海の女王に君臨したかもしれません(笑)
アリエルやアナ雪などディズニープリンセスの出身国をもっとくわしく▽