『ピーターパン』恐怖のネバーランド比較!ディズニー版と原作の秘密に迫る

ディズニー映画『ピーターパン』の原作ディズニーの名作アニメ『ピーターパン』をご存知ですか?
ディズニーを代表する夢あふれるアニメの1つですよね。

でも、原作にはちょっとこわい要素も?

今回は、ディズニー版と原作『ピーターパンとウェンディ』を比較しながら、驚きの違いや秘密に迫っていきます。ファンタジー好きの大人ならみんな楽しめる内容です。

個人的なオススメは「ネバーランドの恐ろしい秘密」です(目次からどうぞ)。ぜひ、最後までお付き合いください!

ピーターパンとウェンディの原作について

ピーターパンの舞台「ロンドン」

ピーターパンの作者

『ピーターパン』は、イギリスの物語で、その原作者はジェイムズ・マシュー・バリ氏です。イギリスで有名な劇作家、小説家。劇作家や小説家として活躍していました。

ピーターパンの原作

最初は『ピーター・パン、大人になりたがらない少年』というタイトルでロンドンの劇場で上演されていました。

これが大人気だったので、小説版として『ピーターパンとウェンディ』が出版されました。私たちがよく知るピーターパンの原作です。

作者J.M.バリの悲劇的な私生活

J.M.バリは成功を収める一方、私生活では不幸が続いていました。幼少期に兄を事故で亡くし、成人後には母や姉を相次いで失います。さらに、妻の浮気が明らかになり、離婚することになりました。

一連の不幸な出来事は、彼の作品に少なからず影響を与えたとも言われています。

ディズニーと原作キャラクターの違い

空を飛ぶピーターパンのイメージ

ピーターパンとフック船長の真実の姿

ディズニーではピーターパンがヒーローで、フック船長がヴィランですが、原作ではそうとも言えません。

ピーターパンは生意気な悪ガキ?

  • ディズニー版のピーター:無邪気でちょっと生意気な少年
  • 原作のピーター:↑基本的には同じですが、もっと辛辣です。「ピーターほど生意気な少年はほかにいなかった」「ピーターは自分のことにしか興味がない」「島の中でもピーターだけがものを書くことも読むこともできない」と書かれています。

『ピーターパン』の原作は、子供が純粋なだけではなく、無知で生意気で残酷という面も正直に書いているのです。

フック船長は良家出身の貴族⁉

  • ディズニー版のフック:ピーターに恨みを持つ船長。ひょうきんでおっちょこちょいな面も。ディズニーヴィランズの中でもコメディ格のにくめないキャラクター。
  • 原作のフック:「死人のような形相」「浅黒く、長い巻毛で、遠くから見ると黒い蝋燭のよう」「目は深い悲しみをたたえている」ディズニー版よりは、ちょっとこわい外見。しかし、言葉使いは優雅で、いつでも貴族のような雰囲気をまとっているそうです。性格は、残酷で冷徹な一方で「礼節を重んじる」とも表現されています。

のちに、フック船長は良家の出身だと分かります。フック船長は教養のあるおぼっちゃまだったのです…。

そう言われてみれば、ディズニー版のフック船長も、他の海賊とは違い、優美な赤いジャケットを着ていますね。

フック船長とワニ

原作では、フック船長がしつこくピーターパンを追い回すのは、復讐のためではなく「ピーターの生意気さのせい」だとくりかえし強調されています。

ウェンディとティンカーベルの恋心

『ピーターパン』では、ウェンディティンカーベルがピーターパンをめぐってちょっとした嫉妬心を燃やしています。

また他にも、人魚たちやインディアンのタイガー・リリー。ピーターパンの周りにいる女性たちはみんな嫉妬に狂って仲が悪いんです。

実はこの設定も原作通り。ディズニーの脚色ではありません。
ウェンディやティンカーベルのピーターパンに対する嫉妬心は、原作でも同様に描かれています。

モテモテのピーターパン

原作のピーターパンは、生意気で自己中で、少し時間が経つだけで人の名前も忘れてしまうような少年です。

でも、どういうわけか女性に超モテる。

女の子たちはピーターパンに振り回されながらも「ピーターの彼女になりたい」と願っています。母性本能をくすぐるってとこでしょうか…。

子守り犬のナナもいるよ

ウェンディが育つダーリング家には、子守りのナナという犬がいます。ナナは犬なのに「子守り」です。これはいかにもディズニーらしい設定ですが、なんとこれも原作通り。お父さんがナナにやきもちを妬いて、ナナを追い出してしまうエピソーも原作通りなんです。

ネバーランドとピーターパンの恐ろしい秘密

さて、ハイライトです。

原作の「ネバーランド」には、とある恐ろしい秘密が隠されていました。

迷子のロストボーイズとは?

ネバーランドには「迷子たち(ロストボーイズ)」と呼ばれる少年たちがいます。ディズニー版では、ただの着ぐるみを被ったわんぱくっ子たちに見えます。

ロストボーイズたちは皆 お母さんの存在を知りません。だからウェンディをお母さんのように慕っています。

お母さんの存在を知らないとはどういう意味?
ロストボーイズたちはどこからネバーランドへ来たのでしょうか?

その答えは原作にありました。

魔法の森

原作では、ロストボーイズたちは「乳母車から落ちてしまった子」だと説明されています。かわいらしい表現ですが、子供のうちに何らかの理由で親元から離れてしまった子達ということですね。

まだ終わりません。

成長した迷子たちは“間引かれる”

迷子たちは数が「決まってない」らしいです。なぜなら、体が大きくなると、ピーターが“間引く”から。

つまり、大きくなると、ピーターパンに間引かれてしまうのです。

ピーターだけは永遠に大きくならない少年ですが、迷子たちは成長してしまう。大人になるとネバーランドには住めません。だから「間引かれる」。ピーターパンの命令は絶対で、ネバーランドでは恐れられているそうな…。

「間引く」が何を意味するかは推測に任されています。さすがに殺すとは書いてませんがそんな説もあります。どちらにしろネバーランドからは追放されるということです。こわい…。

迷子たちはすべて男の子である

ディズニーアニメで迷子たちがみんな男の子だったことに気づきましたか? その理由も原作に書かれています。

理由は「女の子はとても賢いから乳母車から落ちたりしない」からだそうです。可愛らしい表現ですが、迷子が男の子だけというのもなんだかこわいですよね。

ディズニー版で描かれなかったあらすじに迫る

ピーターパンの舞台「ロンドン」

『ピノキオ』などに比べると、意外にも原作に忠実なディズニーの『ピーターパン』ですが、さすがに恐ろしいため伏せてある部分もあります。先ほどのロストボーイズの件はもちろん、結末も少し違います。

フック船長は最後まで気高かった

ディズニー版でも描かれたピーターとフックの海賊船上の戦い。
ディズニーでは、もちろん正義のピーターパンが勝ちます。追いやられたフック船長は「俺はタコだ」と叫ばされて、ズルをしたあと、敗北し、チクタクワニに追われるのです。フック船長は卑怯者として逃げてゆきます。

しかし、原作ではむしろ逆と言えるかもしれません。

原作では、ズルをするのはピーターパンの方なのです。
しかし、そう仕向けたのはフック船長本人という複雑さ。フック船長は、最後にピーターパンに「剣を使わず足で蹴れ」と合図して、自らピーターにズルをさせて、敗北と死を選びます。もともと貴族育ちのフック船長は、ピーターパンの生意気さや無礼さがずっと気に食わず、最後にピーターに無礼をさせたかったのだそうです。

死ぬ前に、フック船長は、青年期の頃の、貴族が通う名門校での生活を思い出します。

お父さんはナナの犬小屋で過ごすことに

優秀な子守犬のナナをお父さんは追い出してしまいます。ディズニーではその後のことは描かれませんが(おそらく時間の関係で)、お父さんは猛反省します。

そして、お父さんは反省を示すため、なんとナナの犬小屋で生活するのです。笑。

世間体ばかり気にしていた厳格な父親だったダーリング氏は、近所から笑われてもこの生活を続け、やがて事情を知った近所の方達から同情を集め、社交界でも逆に尊敬されるようになります。

このくだりは原作の中でも面白く、かわいらしいエピソードです。最後に、お父さんは迷子たちを全員養子に迎え入れました。

原作『ピーターパンとウェンディ』のちょっと切ない結末

ディズニー映画『ピーターパン』の原作

ピーターのかわいそうな過去

ディズニーのピーターパンでは、最後にピーターが海賊船でウェンディたちを家まで送っていきますね。

原作ではこうです。
ダーリング夫妻は毎日窓を開けて子供たちの帰りを待ちこがれている。しかし、ピーターはこっそり窓に鍵をかけ、ウェンディに「もう両親は待っていない」と思わせ、ウェンディを連れ帰ろうとします。

なぜなら、ピーターが過去に両親に同じことをされたから。

ピーターもその昔、家に帰ろうとしたことがありましたが、家の鍵は閉まっており、別の子供をあやすお母さんが見えました。そして、ピーターパンが二度と帰ることはありませんでした。(まるで、トイ・ストーリー3のロッツォですね)

原作では、ウェンディはどうなったのでしょうか?

ウェンディと涙の再会

ウェンディのお母さんの涙を見たピーターは、かわいそうになり、結局ダーリング家の鍵を開けて、ウェンディを帰してあげました。

ウェンディのお母さんは「年に一度だけウェンディをネバーランドに行かせてあげる」とピーターに約束をします。

ウェンディは年に一度ピーターパンを待ちますが、時間の概念がなく忘れっぽいピーターは、来たり来なかったり。そのうち2年後になり、数年後になり、ウェンディは大人になりました。弟たちや養子になったロストボーイズたちもまた普通の大人になって、子供時代のことは忘れてしまいました。

数十年後、大人になったウェンディを見て、ピーターパンは泣き崩れます。

そんなピーターを慰めたのは、ウェンディの娘・ジェーン。(最初にウェンディとピーターが出会ったシーンが伏線となっています)

その年から、ピーターは娘ジェーンとネバーランドへ、そしてまたその娘、その娘…と受け継がれていきました。

これが原作『ピーターパンとウェンディ』のラストです。美しいハッピーエンドですが、皆が大人になっていくのは、少し切ないですね。

ディズニーでは『ピーターパン2』という続編で、娘ジェーンと大人になったウェンディが描かれています。

まとめ:『ピーターパン』の原作とディズニー版の比較で見えてきたこと

これまで様々な「ディズニーの原作」を紹介してきましたが、その中でも『ピーターパン』はかなり原作に忠実な方ではないでしょうか。

原作がもともとファンタジー要素いっぱいで、ディズニーと通じているのかもしれません。

それにしても、ロストボーイズの“間引き”描写だけは衝撃でした…。

大人になってから「子供時代を生きる少年」と「普通の大人になったウェンディたち」を読むと、少し切ないというか、考えてしまうところがあります。私も何か忘れてしまったのかな、なんて…。

でも、全体的には面白かったです。
これからもディズニーやファンタジー映画の原作を紹介していきますので、興味がある人は、他の記事も読んでみてください!

最後までありがとうございました。Happy ever after!

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