父ハン・ソロと息子カイロ・レンの関係
エピソード7では父親を殺したことで精神が乱れ、エピソード8では母親を殺せず……善と悪の間で葛藤するカイロレンと父ハンソロの親子関係を考察。旧三部作のハンソロにまつわるトリビアも。
スターウォーズの神話性
スターウォーズはSFですが、1つの「神話」だとも言われている。それはなぜ?
「父親殺し」はギリシャ神話
- 息子が父親を殺すのは、ギリシャ神話では鉄板。特に有名なのは「エディプス王」。
- 心理学者フロイトは、息子は母親欲しさに父親に敵意を抱くことがあると考えた。この現象を先のギリシャ神話になぞらえて、エディプスコンプレックスと名付けた。(フロイトのエディプスコンプレックス説は少し気持ち悪いけど…興味があったらwikipediaとかで)
- ジョージ・ルーカスは神話の勉強をしていた。スターウォーズでもギリシャ神話のエディプスと同じように「父親殺し」が描かれ、物語の主軸にもなっている。
息子が父親を殺すスターウォーズ
- エピソード7。ハンソロが息子のベン(カイロレン)に殺される。プロローグのみで内容がほとんどなかったエピ7で唯一、今後に響いてくるあらすじ。ということは、これだけは決まっていたのだろう。
実は父親VS息子の構図は今回が初めてではない。
- スターウォーズ旧三部作シリーズでは、ルークが父親ダースベイダーを倒す使命にある。
- スターウォーズ新三部作シリーズでは、アナキンが父親同然のオビワンと戦う。
カイロレンがハンソロを殺した理由
カイロレンがハンソロを殺した理由はシンプルではない。推測になってしまうが、カイロレンの心理を考えてみよう。
カイロレンは父親ハンソロを愛していたが、憎んでもいた
- ダークサイドに堕ちた息子のベンを巡って、レイアとハンソロは離婚している。「お互い自分の世界に逃げ込んだ」とも話している。つまり、レイアとハンソロは息子の危機に二人で協力する事が出来ず、息子も救えなかったのだ。師匠のルークもカイロレンを救えなかった。3人がいくら偉大であっても失敗はあるということだ。いい親やいい師匠とは言えなかった。
- カイロレンは保護者である3人に見捨てられたような気がしている。 しかも、その保護者3人は帝国時代を救った伝説的なレジェンドたちである。「自分は出来損ないだ」という気持ちや「世間はレジェンドとしてちやほやしているが、親とはしてはどーよ?」という気持ちだ。
親が偉大すぎて、グレてしまう子供はけっこう多いと聞く。複雑なのかもしれない。
- ちなみに、新三部作エピソード3。アナキンスカイウォーカーもオビワンのことを「尊敬している」が、最後には「お前が憎い」と言っています。※オビワンとアナキンは親子関係ではありませんが、親兄弟同然の師弟関係。
出来た父親像というのは、息子にとって尊敬にもなれば、超えられない憎い壁にもなりえるということ。
自分が強くなるためにハンソロを殺した
- スノークに忠誠を誓っていたカイロレンは、父親を殺すことで自分の弱い心(シスの言う弱い心とは慈悲や家族への未練)を断ち切ろうとした。
- 言い換えれば、カイロレンの弱点は家族だった。ダークサイドに堕ちても家族のことで悩む心が残っていた。カイロレンの魅力はその弱さなんだよね。→スターウォーズ レイの強さ、カイロ・レンの弱さ、二人で一対の魅力
おまけトリビア:ハンソロは旧三部作で死ぬはずだった!
ハンソロが死ぬ構想は、実は旧三部作の頃からあったという。
- エピソード6制作前当時、ハンソロ役のハリソン・フォードは、インディジョーンズで有名になっていた。制作サイドの懸念は「またハンソロに戻れるか?」。世間がインディジョーンズとして見てしまわないだろうかということだ。また、映画として、最終章で誰か死ぬべきだという意見もあった。
- ハリソンフォード自身もハンソロを殺す事に賛成だった。「ハンソロには家族もいない。誰かが死ぬとしたら、未来に影響を与えないハンソロしかいない」とドキュメンタリーで答えている。