『ポカホンタス』どこまで実話?|調べなきゃよかったディズニープリンセスの歴史

ディズニーの『ポカホンタス』は、ネイティブアメリカンとイギリス人入植者の交流を描いたアニメーション映画。美しい大人向けのミュージカル作品で隠れた名作!!
この作品、実は「史実」で実在モデルがいるのをご存知ですか?
『ポカホンタス』はどこまで実話でどこからがディズニー版なのか? 徹底的に調べてみました!

ちゃんたま
最後に全部知った上で、ディズニーファンである私なりのフォロー考察も入れておきますので、どうにかお楽しみ下さい。
『ポカホンタス』どこまで実話?
多くのディズニープリンセスはおとぎ話が原作になっていますが、ポカホンタスは「史実」をもとにしたプリンセスです。なんと、アメリカの歴史教科書にも名前が出てくるよ!
ポカホンタスは実在したネイティブアメリカンの少女

まず、ディズニーと本物ポカホンタスの共通点から↓
ポカホンタスは実在したとされるインディアンの少女。ポウハタン族の曹長の娘として生まれた。この設定はディズニー映画も一緒である。
ポカホンタスの本名
「ポカホンタス」は本名ではなくあだ名で「悪戯好きの子」の意。ポカホンタスの本名は「マトアカ」。のちにイギリスに渡ったので英語名では「レベッカ・ロルフ」ともいう。※あとで詳しく
ジョン・スミスも実在したイギリス人
ポカホンタスの恋人、ジョン・スミスも実在した青年。がっしりした傭兵だったという。

ディズニー版のようにイケメンではなさそうなものの、ジョン・スミスが強い兵というのは『ポカホンタス』の冒頭でも言われていた。
出来事も歴史的事実
『ポカホンタス』の挿入歌でも歌われているが、イギリス人が金銀を求めて、ポカホンタスの土地に「ヴァージニア植民地」を作ろうと訪れたのも事実。当時は、スペインが世界中に植民地を開拓し、豊かになっていたので、イギリスも負けじとそれに続いた。
ポカホンタスもジョン・スミスも『ポカホンタス』の設定はほとんど「実話」をベースにしているということが分かりました。
ディズニー版と史実で異なるあらすじ
いよいよ、ディズニー映画と実話との違いについて考察します。
ジョン・スミスとポカホンタスは恋人じゃなかった
まず、ジョン・スミスとポカホンタスは、恋に落ちていない。これが最もディズニー映画と違う点です。
ポカホンタスの実年齢
ディズニー映画のポカホンタスが20歳前のハイティーンくらいに見えるのに比べ、実在したポカホンタスはわずか10〜11歳。まだほんの子供で、恋愛できる年齢ではない。
この点がディズニー版の一番の変更点ではないでしょうか!2人の年齢を同じくらいに変えて、恋愛ものにしたんですね。
ポカホンタスはジョン・スミスの命を助けていない
- ディズニー版のあらすじ:イギリス人トーマスが先住民ココアムを撃ち殺し、トーマスをかばったジョン・スミスは先住民に捕らえられる。両陣営の大きな戦闘に進展するが、ポカホンタスが駆けつけ、ジョンの命を救う。
- 史実:ジョン・スミスが「ポカホンタスはよく遊びに来た」「ポウハタン族に襲われたが、ポカホンタスが知らせてくれたため、命を救われた」等とエピソードを語った。しかし、ポウハタン族側は「そんな事実は一切ない」と否定している。
ポカホンタスとの美談は、ジョン・スミスのウソ説
(現実世界の話)ポカホンタスは先住民の曹長の娘ということもあり、イギリス側に「マーケティング」に利用され、次第に有名になっていた。※あとで詳しく
そして、有名になったポカホンタスとの美談をのちにジョン・スミスが語り始めたとのこと。
今となっては事実関係が分からないため「ジョン・スミスの作り話だったんじゃないか」と言われている。
カンタンにいうと、ジョン・スミスの売名行為だったというわけです。
友好関係があったのかも今や分からない
先住民とイギリス人が友好関係を築いたというエピソードも、真偽は謎。
- (仲良し説) 両者は侵略というよりも協力関係で結ばれ、ジョン・スミスはポカホンタス父(ポウハタン族長)の養子にまでなった。
- (侵略説) 厳しい冬を乗り越えるため、ポウハタン族は頻繁に食べ物を届けたが、それでもイギリス側の入植生活が困難になってくると、やがて先住民に対し食糧の略奪や人質、暴力などが日常的に行われるようになった。
ジョン・スミスについても、優秀な軍人だったという英雄説から、野蛮な野心家で仲間内からも嫌われていたという悪漢説まである。
「一度は和平協定のようなものを結んで仲良くしていた」というのは、どの資料でも共通しています。
※いずれにせよ、歴史は語る立場が違えば全く違ってしまうものです。
実は『ポカホンタス2』が本当の話?
さて、続編である『ポカホンタスII/イングランドへの旅立ち』の方は皆さん見たことありますか?

ちゃんたま
『ポカホンタスII/イングランドへの旅立ち』のざっくり紹介
- タイトル通り、ポカホンタスが村を出てイングランドに行く。
- ポカホンタスはイギリスで文明生活を経験。
- 最終的に、ジョン・スミスではなく、ジョン・ロルフという新しく出てきた他の英国青年を選ぶ。
「めちゃくちゃだなあ」と思っていましたが、なんと、ポカホンタスが英国へ行くのは史実でした……! そして、なんとなんと、ジョン・ロルフも実在していました。
ポカホンタスは誘拐された?
- ディズニー版『ポカホンタス2』あらすじ:英国から貴族のジョン・ロルフがやってきて「英国王の統治でこの場所で共生したいから、英国に来て下さい」とポウハタン族曹長に頼む。勝手な申し出に村人達は反対したが、ポカホンタスは運命の声を聞き、父の代わりに村から英国へ旅立つ。
- 史実:次第に争いの絶えなくなった両陣営は互いの人質をとったりしていた。ポカホンタスも捕虜にされ、曹長の娘ということで交渉を有利にするために誘拐され、英国に連れて行かれた。
悲しくなってきましたね。実際のポカホンタスは自ら英国に行ったわけではなく、誘拐されたか村の犠牲になったかで、政治利用のために英国へ連れて行かれた可能性が高いです。この時、14〜16歳だったと推定されています。
恋人のジョン・スミスは死んだ?
- ディズニー版『ポカホンタス2』あらすじ:ポカホンタスは、ジョン・スミスが死んだと噂に聞かされている。代わりのように、ジョン・ロルフという青年が登場し、二人の間に恋心が……。しかし、ジョン・スミスはラドクリフに嵌められただけで生きていて、後半にポカホンタスと再会する。
ラドクリフ総督は恐らくフィクションですが、「死んだと思っていたジョンスミスが生きていた」というのは史実通り。そして、のちにポカホンタスとの美談を語ったというわけです。
また、ジョン・ロルフというキャラクターもちゃんと実在する。
ポカホンタスはジョン・ロルフと結婚した
- ディズニー版『ポカホンタス2』あらすじ:次第に惹かれ合うポカホンタスとロルフ。死んだと思っていたスミスが戻ってきて無事再会を果たすが、ポカホンタスが最後に選んだのはロルフの方だった。
- 史実:捕虜になっている間に、男やもめだったタバコ商人のジョン・ロルフがポカホンタスを見初める。ロルフはポカホンタスと結婚し、ポカホンタスは名前を「マトアカ」から「レベッカ・ロルフ」という英国名に改名する。
上記の事情から、ポカホンタスは、キリスト教に改宗し、名前も英国名になっています。
ポカホンタスが自ら選んだ道だったのか?
状況的に結婚は強制だったのか、それとも愛があったのか?
ポカホンタスの晩年
話が前後しましたが、ポカホンタスはこうして渡英し、イギリスで子供をもうけました。イギリスでは「ネイティブ・アメリカンの姫」として迎えられました。政治的なマーケティングに利用された一面はあるものの、結婚したことでポウハタン族とイギリスの間に少しの間和平ももたらしたそうです。ポカホンタスはこうして歴史に名を残す有名人になりました。
「晩年」と書きましたが、ポカホンタスは21歳の若さでこの世を去りました。
ここまでたったの21年ですべて経験したんです。どれほど壮絶な人生だったか。
ポカホンタスが幸せだったのかどうかは今となっては分かりません。複数の資料を参照しましたが、どちらともとれるというのが正直な感想です。
個人的には、誘拐の後からちょっと辛くなってしまいました。

ちゃんたま