『ライオンキング』の原作とジャングル大帝盗作疑惑の真相、ちょっといい話

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これまでもディズニーおとぎ話の原作について書いてきましたが、今回は『ライオンキング』の元ネタについて!

ライオンキングはディズニーのオリジナル作品ですが、実は世界で一番有名な劇作家の作品を元ネタにしています。

そして、原作にまつわるちょっとした騒動には、日本一有名な漫画家とウォルト・ディズニーの心温まるエピソードも隠れているのです。

ライオンキング(1994年)

ライオンキングの元ネタは『ジャングル大帝』ではなく『ハムレット』だった

『ライオンキング』は1994年のディズニーアニメーション映画。2019年には実写版でリニューアルもされましたね。

ライオンキングはディズニーのオリジナルかと思っていましたが、実は原作が存在したのです!正確には原作というより、あらすじのベースとなった作品です。

映画『ライオンキング』のモデルとなったのはズバリ、シェークスピアの四大悲劇『ハムレット』!
シェークスピアの悲劇

あの楽しくてかわいいディズニー作品が「世界的な悲劇」をもとにして作られていたとは意外です。

『ライオンキング』の原作『ハムレット』はとんでもない悲劇

『ハムレット』は、イギリスの劇作家シェークスピアが生み出した四大悲劇のひとつ。

読んだことがなくても世界一有名な劇作家なので、名前や作品名は聞いたことのある方がほとんどでしょう。

『ライオンキング』と『ハムレット』のキャラクター共通点

ライオンキングとハムレットのキャラクターを見てみましょう。主要キャラクターは確かに似ています。

ライオンキングのキャラクター

サバンナの王:ムファサ
ムファサの息子、王子:シンバ(主人公)
王の弟、シンバの叔父:スカー

ハムレットのキャラクター

ハムレットの実父:前王ライオンキングのムファサ
デンマーク王子:ハムレットライオンキングのシンバ
前王の弟:クローディアスライオンキングのスカー

他にも登場人物はいますが、王位を狙う悪い叔父が物語のキーパーソンです!

『ライオンキング』スカー

スカー©disney

『ライオンキング』と『ハムレット』のあらすじ比較

ライオンキングとハムレットのあらすじをざっと比較してみましょう。

ライオンキングのあらすじ

 シンバは次期国王の無邪気なライオン。新しい王子の誕生をみんなが喜んだが、現国王ムファサの弟・スカーだけはちがう。自分の王位継承権がシンバに移ったのを不満に思っていた。
ある日、スカーはハイエナたちを丸め込み、国王ムファサを暗殺した。事故に見せかけ、さらにシンバに罪を被せることにまんまと成功。幼いシンバは何が起こったかわからぬまま、スカーに言われるまま国を出た。
シンバは遠いジャングルで青年になる。一方、国ではムファサのみならずシンバも死んだことにされ、スカーが国王になっていた。
亡き父ムファサの声を聞いたシンバはついに母国に帰る決心をし、スカーと対決し、国と家族を取り戻す。

ハムレットのあらすじ

 前王が亡くなり、その弟クローディアスが夫を亡くした王妃と結婚し、王位についていた。本来であれば、息子であるハムレットが次期国王になる予定だったがだまされたのだ。
ある日、前王の亡霊がハムレットのもとに現れ、「自分はクローディアスに殺されたのだ」と告げた。父の死も母の再婚もすべてはクローディアスの策略だったと気づくハムレット。
ハムレットは、クローディアスへの復讐を企てるも、誤って自分の恋人の父を殺してしまう。その罪をクローディアスに責められ、ハムレットは国外追放される。
国に戻ると、かつての恋人は父を亡くした悲しみで自殺していた。恋人の兄が「父と妹の敵」とハムレットに襲いかかり、刺し違える。死ぬ間際、ハムレットは最後の力を振り絞り、叔父のクローディアスを殺す。
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なんてこと…原作ではみんな亡くなってしまいました…。

これがシェークスピアの四大悲劇の破壊力です。

『ライオンキング』は、最初こそ悲劇的なものの、ハッピーエンドになってます。

ディズニーが『ジャングル大帝』の盗作!?騒動

『ライオンキング』の原作について話すとき、語らなければならない背景がもうひとつあります。日本の有名作品が絡んだ盗作疑惑騒動です。

  1. 『ライオンキング』は『ジャングル大帝』からの盗作疑惑があった
  2. 実際にモデルにしたのは『ハムレット』だとディズニー制作陣が発表
  3. 手塚治虫サイドもディズニー社を訴えるつもりはないと発表し、盗作疑惑は収束

問題は無事収束していますが、気になる盗作騒動をもう少し詳しく見ていきましょう。

(ちょっとイイ話)ライオンキングの『ジャングル大帝』盗作騒動

「ライオンキング 『ジャングル大帝』の盗作疑惑騒動」はどうやって収束したのでしょうか?

日本の漫画家複数人が「あれは手塚治虫の盗作だ」と署名を集め、ディズニー社に問い合わせたのが盗作疑惑の発端です。

その活動がマスメディアに取り上げられ、ちょっとした騒動になってしまったんですね。

カンタンに言うと、外野が騒いだというワケです。今ならSNS?

ディズニー社は「シェークスピアの『ハムレット』やディズニーの『バンビ』を参考にした」と発表しました。

そして、『ジャングル大帝』の権利元である手塚治虫さんの遺族はこう回答しました。

「ディズニーファンだった故人がもしもこの一件を知ったならば、怒るどころか『仮にディズニーに盗作されたとしても、むしろそれは光栄なことだ』と喜んでいたはずだ」と。

騒動にはなったけども、手塚治虫さんの遺族はディズニーを訴えない意思を示したのです。

手塚治虫とディズニーは尊敬しあっていた

手塚治虫『鉄腕アトム』

手塚治虫氏は、ウォルト・ディズニーを心から尊敬していたそうです。

「僕はディズニーの影響を受けている」と公言しており、『バンビ』を観に何十回も映画館に足を運んだエピソードも。

ディズニー社は、「ライオンキングの参考にしたのは『バンビ』だ」とも発表しましたが、そのバンビは『ジャングル大帝』にも影響を与えているのだそうです。

名作が名作に、天才が天才に影響を与えあって、新しい作品が生まれていたんですね…。

手塚治虫はアメリカまではるばる、憧れのウォルト・ディズニーに会いに行ったこともあるのだとか。

ウォルト・ディズニーも『鉄腕アトム』を知っていました。「良い作品ですね。私も宇宙の作品を作りたい」と手塚治虫に敬意を示したそうです。

もはや周りがとやかく言うような話ではありませんね。本当の天才は影響も隠さないし、他の天才を妬んだりもしないんですね。

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盗作疑惑という響きはあれだけど、逆にちょっとイイ話

ディズニーがハッピーに変えた悲劇的作品

ともかく、ディズニーは、シェークスピア悲劇を参考に、「スカー」というディズニーヴィランズ史上でもかなり凶悪な悪役を生み出しました。なんせ、実兄に手をかけたヴィランです。

『ライオンキング』スカー

スカー©disney

同じように、超バッドエンドな原作小説をハッピーエンドに変えた作品に『ノートルダムの鐘』があります。

原作が小説のものは暗い作品も多く、『ピノキオ』も原作はかなりヤバいです。

原作の世界は驚きに溢れていて、けっこうハマりますよ。気になる方はぜひ他の記事も読んでみてください♪

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