ディズニー『三匹の子ぶた』とは
「オオカミなんてこわくない♪」の歌でも有名なディズニーの短編アニメーション映画。シリーシンフォニーシリーズの一つです。「シリーシンフォニーシリーズ」とは、ウォルトディズニーが現役だった時代に制作された短編映画のシリーズ名になります。
1933年に制作されたので、ディズニー最初の長編映画『白雪姫』より全然古いんですね!今はすでに著作権切れなので、Youtubeなどでも見ることができます。
では、ディズニー版についておさらいしたところで、本題の「ちょっとこわい原作」についてです。
ディズニー『三匹の子ぶた』の原作と結末は?
『三匹の子ぶた』は民間伝承のおとぎ話です。民間伝承なので原作者や正しい出どころは不明ですが、おおすじは同じ。大きく分けると、ディズニー版かそうでないかで2種類の結末があります。
「三匹の子豚」原作のあらすじ
- むかしむかし、三匹の子豚の兄弟がいた。お母さんは子豚たちを外に送り出す。一匹目のお兄さん豚はワラで家を作り、二匹目のお兄さん豚は木で家を作り、末っ子の三匹目は時間のかかるレンガで家を建てた。
- ワラと木の家はもろい。おそってきたオオカミに吹き飛ばされてしまい、二人のお兄さん豚はオオカミに食べられてしまう。
- 末っ子豚のたてたレンガの家は頑丈だ。オオカミも太刀打ちできず、煙突から侵入することに。
- 末っ子豚は、かまどに火を炊き、煙突から降りてきたオオカミを煮えたぎる鍋で迎え殺し、おいしくいただいた。
- こうして、苦労して丈夫な家をたてた末っ子のぶたさんは、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし……
読み流すといっけん普通ですが、ちょっとした狂気が隠されているのに気づきますか?
原作の恐ろしさをくわしく分析する前に、続いてディズニー版のあらすじを比較として見てみましょう!
ディズニー版「三びきの子ぶた」の結末、原作との違い
大筋はほとんど原作通りですが、違いは結末部分です。
- ワラと木の家を作った2匹のおにいさん豚たちも、オオカミに食べられることはなく、弟のレンガの家へ無事逃げ込む。
- ラストでオオカミは大鍋に入れられるが、殺されはしない。「アッチッチ」となって子ぶたの家から逃げていく。
ディズニーがなぜ原作の結末を変えたのか?
『三匹の子ぶた』の原作は、前に紹介した『ノートルダムの鐘』の原作や『ピノキオ』の原作に比べればだいぶマシに見えますが、そういえばよく考えてみると……
子ぶたは兄弟を共食いしていた
原作の末っ子ぶたは、オオカミを食べてしまいます。「肉食動物を豚が食べる」という絵をちょっと想像してみてください。
……(想像中)……
ゾッとしますね。ディズニーアニメのミュージカルでかわいくカバーできる範囲を超えています。「オオカミなんかこわくない♪」というか、ブタさんのがよっぽどこわい。
でもまあ、考えてみれば豚は雑食の生き物。生物学的にありえないことではないのかもしれません。
それよりもさらに大きな問題点は、オオカミが直前に2匹のおにいさんたちを食べている点。おにいさんぶたを食べた直後のオオカミを食べたてしまう末っ子ぶたには、狂気めいたものを感じないでしょうか?
そう、末っ子ぶたは、間接的に兄弟を共食いしているのです。
兄弟を食べたあとの熊さんを熊鍋にして食べられますか? 食べないよね!(強引な例え)
お兄さんたちが木の家とワラの家をさっさと作り終わって楽しそうに踊る中、レンガを黙々と積み上げる末っ子ぶたにはただならぬ精神力を感じてはいましたが、この弟、やっぱりフツウじゃなかった。
末っ子ぶたの狂気をなくしたディズニーの英断
『三匹の子ぶた』はディズニーが結末を変えるほどひどくないかとも思いましたが、やっぱり変えて正解でしたね。ディズニー版の子ぶたさんたちは歌って踊るかわいい子ぶたたちです。オオカミの方もなんだかマヌケで憎めない。今でもディズニーランドでキャラクターたちに会うことができます。
前には『三匹の子ぶた』のお父さんの運命を特集しましたが、これはディズニーアニメ版のトリビアです。ぜひ見てみてください。
父はどうなった?ディズニー「三匹の子ぶた」の背景に隠し絵
それでは最後に、その辺を踏まえた上で、本編をもう一度見てみましょう。笑
ディズニー版『三匹の子ぶた』本編 はこちら
吹き替えの著作権は不明なので英語版を紹介します。
以上、ディズニー短編アニメーション「三匹の子ぶた」の原作トリビアでした。