フロドよりサムの方が適任説はホント?
指輪の運び手にホビットが選ばれた理由を見てきました。最後に残る疑問は「なぜホビットの中でもフロドだったのか?」ですよね。
忠実なサムではだめだったのでしょうか?
指輪はサムじゃだめだったのか?
映画だとたしかにサムの方が誘惑に強そうに見えますが、原作にはこんな記述があります。
一粒の勇気の種子は、たとえ一番でぶのホビットの中にさえ隠されていて……(中略)……絶体絶命の時に育っていくものです。
フロドはたいしてでぶでもなく、また、たいして臆病でもありません。……(中略)……
ビルボもガンダルフも、フロドのことをホビット庄でも一番優秀なホビットだと考えていたのです。
フロドは「一番優秀なホビット」だと思われていたんですね!
原作のサムワイズ・ギャムジーとは?
サムはでぶだからダメだったのでしょうか(笑)
上の引用ではそうともとれますが、他の要因も原作には書いてありました。
サムはフロドより臆病である
サムは、本質的にフロドより臆病な性格です。
映画ではサムの良い面がクローズアップされています。それも本当のことなのですが、原作ではもっともっと長いこと旅していて、サムはフロドより臆病な気質が表れています。家に帰りたがることも多々あるんです。
主人フロドを思うときにだけ、臆病なサムは勇気を発揮します。
サムは、本当にいい奴ですが、フロドの補佐をしている時が一番最強で、自分が主人じゃだめなのです。
【結論】なぜ指輪の主にフロドが選ばれたのか
ホビットの真価は「いざとなった時の勇気」を秘めていることだと言います。ビルボもフロドも、友人のサム・メリー・ピピンも例外ではありません。
その中でも、一番勇敢な素質を持っていると思われていたのがフロドです。
ガンダルフは、フロドのことを「もっとも優れたホビット」と評価しています。
指輪の主にフロドが選ばれた2つの理由
- 指輪の誘惑に抗える者は存在しない
だから、誘惑されてもよりマシな結果になる者が最適である。それは権力欲がなく、忍びに適し、平和主義のホビットである。 - ホビットの中でも一番勇敢なのがフロドである
ガンダルフとビルボ、そして友達のサム、メリー、ピピンが全員が「フロドが適任」と思っていた。友人たちはあくまでフロドの補佐として旅の仲間に加わった。
映画を見て「無欲なサムのが適任なんじゃないの?」っていう疑問はわかる気もするんですが、そもそも、フロドが行かなければ、サムもメリーもピピンも旅の仲間に加わらなかったのです。それくらいフロドは仲間から信頼されています。
だから「フロドよりサムが適任なのでは?」という問い自体が、サムから言わせたらナンセンスなんですね。
サムからしてみれば「おいらのご主人のフロド様になんてこと言うんだー!」って話なのです。
以上、『ロード・オブ・ザ・リング』より「指輪の持ち主に適しているのは誰か?」考察でした。ご納得いただけましたでしょうか?
『指輪物語 旅の仲間』
J.R.R.トールキン/ 訳:瀬田貞二&田中明子