ディズニー映画『アナと雪の女王』の原作を知っていますか?
原作は「マッチ売りの少女」や「人魚姫」などでも有名なアンデルセン童話です。
映画『アナと雪の女王』と原作『雪の女王』は、どちらも魅力溢れる物語ですが、アナ雪の場合、映画と原作には大きな違いがあります。
この記事は、アナ雪が好きな人たちへ向けて、原作の魅力を紹介します。ディズニー映画が好きなら、原作も読んでみることで、さらに世界が広がりますよ♪
知られざる物語:あらすじ設定を比較
ディズニー『アナと雪の女王』:
- 主人公は、アレンデール王国のアナとエルサ姉妹。
- 物語は、エルサの氷の力が暴走し、アレンデール王国が永遠の冬に閉ざされるところから始まる。
- アナは、エルサを探し出し、姉と王国を救うために旅に出る。
アンデルセン童話『雪の女王』:
- 主人公は、カイという男の子とゲルダという女の子。
- ↑2人は姉弟ではなく、親友。
- 雪の女王にさらわれたカイを捜してゲルダの冒険が始まる。
- 雪の女王は魔女のような存在で、物語の中で善悪が曖昧なキャラクターとして描かれている。
もう少し詳しく見ていきましょう!
華麗なる変身:原作モデルがあるキャラクターはだれ?
ディズニー映画では、それぞれのキャラクターが独自の魅力を持っています。エルサは力強く美しい姉、アナは勇敢で愛らしい妹として描かれ、観客の心を引きつけます。また、オラフやスヴェンなどのサブキャラクターも個性豊かで、物語に彩りを与えています。
原作にも登場するキャラクターはだれでしょう?
アナとエルサのモデル
原作には、アナは登場しません。
アナにあたるキャラクターをあえてあげるなら、主人公の一人で、カイを探しに行く女の子、ゲルダでしょうか?
アナとゲルダは「失ったものを捜しに冒険の旅に出る」という物語上重要な役割が共通しています。
(「ゲルダ」という響きが「エルサ」とかなり近いので、まぎらわしい)
エルサには明らかなモデルがいます。
エルサの元となったのは『雪の女王』。能力的にはエルサと同じ。魔力を持っており、氷の城に住んでいます。加えて、エルサのように美しい。
でも、原作の女王はカイをさらっていってしまう、半分ヴィランのような存在です。
余談:アナとエルサを王族設定にしたワケ
ディズニー映画では、アナとエルサは王族として描かれ、姉妹の絆が物語の中心となります。
主人公を王族設定にしたおかげで、アナとエルサは王子様と結ばれるかどうかは関係なく、生まれながらの「ディズニープリンセス」です。
つまりアナ雪の場合、最後に王子様と結ばれる必要はありません。王子様に頼らない現代のプリンセス像ですね。
クリストフとスヴェンのモデル
クリストフは原作には出てきません。
似た役割を持つキャラクターも見当たりませんでした。
でも、スヴェンのようなトナカイは出てきます!
スヴェンと同じく、物語上、けっこう活躍します。クリストフがいないので、トナカイ(スヴェン)はゲルダ(アナ)の相棒という感じです。
オラフのモデル
オラフは原作には出てこないディズニーオリジナルのキャラクターです。
喋らなくても雪だるまくらいは原作にも出てくるかと思ったのですが……ざんねん。
でも、オラフは確かにディズニーらしさ100%のキャラクターですね。オラフがいるといないではアナ雪の人気も変わったでしょう。
個人的に一番の立て役者はハンス
アナ雪を原作よりさらに面白くさせたと思うキャラクターは、個人的には、ハンス王子です!!
ハンス王子も原作には全く出てこないキャラクターの一人。
そもそも原作の主人公たちは子供なので、恋愛要素はありません。
ハンス王子は小者感こそあるものの(笑)異色なヴィランとして物語を盛り上げました。原作は、キャラクター性よりも全体的な冒険や教訓に重きがおかれているので、もっと淡々と進みます。ハンス王子はまさに、ディズニーのキャラクターマジックにより、面白い展開が生まれた好例ですね!
考察:ハンス王子の名前の秘密
ハンス王子は原作には出てきませんが、名前には原作の由来があるような気がしてなりません。
それは、原作者のアンデルセン。本名をハンス・クリスチャン・アンデルセンと言います。ハンス王子の名前の由来は、原作者からきたのでは? ハンス王子はディズニーオリジナルキャラクターで、物語を大きく原作から変えてしまうキーパーソンですが、原作へのリスペクトもあることがうかがえます。
ハンス王子好きのあたしの考えすぎ?
形を変えたモチーフ:『悪魔の鏡』
原作には『悪魔の鏡』というものがあり、その破片が刺さると人の心はゆがんでしまいます。カイの心臓と目にはこの破片が刺さってしまうのです。優しかったカイは次第にいじわるになりました。
このモチーフは、アナ雪では形を変えて登場しましたね? そう、アナの心臓に刺さるエルサの氷の破片です!
ここに原作とディズニーのテーマの違いを見ることができます。
テーマの違い:友情か家族愛か
ディズニーでは、アナに刺さった氷の破片を溶かしたのは、姉であるエルサの愛でした。(刺したのもエルサだけども
エルサは最初からアナに愛を持ってたけど、表現する方法が分からなくなっていた。それを見つけ出してアナの愛に応えられたから呪いが解けました。ディズニー版のテーマは、エルサとアナの姉妹愛、そしてエルサの自己受容とも言えます。
原作でもカイの心臓と目に刺さった「悪魔の鏡」のかけらを取り除いたのは、ゲルダの愛でした。この愛は大人の愛ではなく、友情の愛。
悪魔の鏡というのは、映ったものが醜く歪む力を持っています。鏡をのぞいたり、破片が刺さると善の心が悪に変わっていってしまう。原作『雪の女王』のテーマは、友情と善悪です。
原作『雪の女王』の魅力
文学的な価値
原作『雪の女王』は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって書かれた名作童話です。その文学的な価値は高く、原作を読むことでディズニー映画とは異なる深みを感じることができます。
こうゆうのって一生に一度は読んでおきたいですよね。子供はもちろん、大人になってからでも教養として知っておきたいものです!
豊かな想像力
原作には、映画にはない独特の世界観が広がっています。登場するキャラクターたちの心情や背景が丁寧に描かれており、読者の想像力をかき立てます。
ディズニーはいつも童話を美しい映像に変えて見せてくれますが、実は、アンデルセン童話も美しい世界観で有名。北欧など寒い国をテーマにした作品が多いので、雪や山、冷たい海のある幻想的な背景がよく描かれています。『雪の女王』でも、女王の容姿やお城は、アナ雪とぴったり一致! アンデルセンが作り出した神秘的な世界は、エルサのイメージ作りに役立ったでしょう。
山小屋のおばあさん、悪い山賊、優しい山賊の娘、トナカイ、フィンランドとラップランドの女性など北欧ならではのキャラクターがたくさん。北欧が好きな人はより面白いかもしれません。
アンデルセン&ディズニーは他にもある
ディズニーがアニメ化/映画化したアンデルセン作品は、アナ雪以外にもあります。
- みにくいあひるの子
- リトル・マーメイド
(『リトルマーメイド』原作ではエリックとバネッサが結婚?衝撃の結末)
舞台裏の話題:興味深いエピソード
有名な話かもしれませんが、最後に少しだけ小ネタを。ディズニーが原作からアニメーションを作り出す過程のお話です。
エルサがヴィランからヒーローへ
ディズニー映画の初期構想では、エルサは悪役として登場する予定でした。原作に登場する雪の女王をディズニーヴィランにしようと思ったのですね。
しかし、「Let It Go」の楽曲が作成された際に、製作陣はエルサをヒーローとして描くことに決めました。こんな美しい曲を歌うキャラクターなら…と考えたとか。楽曲の美しさの魔法です。この変更で、物語のテーマやエルサのキャラクターが大きく変わりました。
まとめ
ディズニー映画『アナと雪の女王』と原作『雪の女王』は、それぞれ独自の魅力を持った物語です。ディズニー映画は、美しいビジュアルや魅力的なキャラクター、名曲揃いのサウンドトラックで世界中の観客を魅了しています。一方、原作は文学的な価値が高く、豊かな想像力や普遍的なテーマが描かれています。
これまでにも「ノートルダムの鐘/ノートルダムの鐘つき男」「ピノキオ/ピノッキオ」「リトル・マーメイド/人魚姫」など原作比較をしてきましたが、その中でも、アナ雪はかなり原作とかけ離れた部類。キャラクター設定自体が変わっているので、原作はまったく別物と捉えた方が良さそうです。でも、物語のモデルになっていることは事実。制作陣がどこから発想を得たんだろう?なんて想像しながら読むとまた面白いですよ。
今回の記事を通じて、ディズニー映画『アナと雪の女王』と原作『雪の女王』の違いやそれぞれの魅力について、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
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