原作『人魚姫』の驚愕の結末とは
このページからは、ディズニーの『リトルマーメイド』と原作の『人魚姫』の結末を比べていくわ。
エリック王子は命の恩人アリエルに気付かない
水難したエリック王子は人魚姫(アリエル)に助けられるわよね。ここまではディズニーも原作も一緒。
ところが原作では、陸にあげられた王子様を介抱したのは別の女性なの。人魚は陸に上がれなかったせいね。これは少し残酷だわ。
そのあと、海の魔女に足をもらったアリエルは地上に出てエリック王子と仲良くなる。でも、王子様はアリエルではなく「命を助けたくれた女性」に恋をしていると言い始めるの。助けたのはアリエルなのにね。
あら。これと似たあらすじがディズニー版にもあるわね。
この女性って……『リトルマーメイド』のバネッサじゃないかしら!?
命の恩人を装い、エリックと結婚しようとしたあの女。ディズニー版ではアースラが変身してこの女性になりすましていたわ。

原作にもいたのねあの女。
バネッサとアリエルは瓜二つだった!?
原作では、王子様いわく「その命の恩人と君はうりふたつ」とのこと。
だからエリックはこんな残酷なことを言うわ。「その子と結婚できなかったら君と結婚するよ」。
ひどーい! 原作のアリエルはエリック王子にとってセカンドオピニオンの残念賞扱いじゃない!
声がなくなっていて身元も知れないアリエルをお城に置き、親切にしているのだから優しいと言えば優しいのかもしれないけど、「似ているからオッケー」なんてひどくない? なめんじゃないわよ。

ディズニーのエリックならそんなこと言わないわ
そういえば、アースラが変身した美女のバネッサもちょっとアリエルに似てたわね…。
エリック王子は最後にバネッサと結婚する!?
『リトルマーメイド』では、命の恩人はアリエルだったとわかり、バネッサもアースラだったと正体が暴かれ、エリック王子はアリエルと結婚してめでたしめでたし……よね?
でも、残酷な原作ではそうはならないの。世の中そんなに甘くないわ。
原作の「バネッサ」にあたる女性は普通の女性で、海の魔女ではないし悪い人でもないらしいの。悪人ならまだよかったんだけどね。
その女性は最初は修道女だと思われていたんだけど(つまり、結婚できないから諦めなきゃいけない)、実は隣国のお姫様なことが判明。エリックと結婚するのに理想の相手だったワケ。
だから、エリック王子は、なんの疑問もなく、その女性と結婚して幸せになる。
人魚姫は最後まで「命を助けたのが自分だったこと」も「王子様を愛している」ことも言えずじまいよ。
王子様をナイフで刺せば呪いが解けるとも言われたけれど、人魚姫にはそんなことできなくて、最後は海の泡になって消えてしまうの。ジ・エンド。
これが原作のアンデルセン童話『人魚姫』の結末よ。

悲しいけど美しさもあるわね…
でも、もしこれがディズニー版なら悲惨よ。だってエリック王子がバネッサと結婚して、アリエルはそのままアンダー・ザ・シーになっちゃうんだから。
ディズニーが『人魚姫』にかけたハッピーな魔法とは
最後に、ディズニーがどうやって、悲しい『人魚姫』をハッピーな『リトルマーメイド』に変えたのかについて解説するわ。
そこには、脚本だけでなく、監督やアニメーターたちの工夫も詰まっているの。
アナ雪とリトルマーメイドの国が一緒?
作者アンデルセンは、デンマークの作家よ。だから、アンデルセン童話は基本的に「北欧」が舞台になることが多いわ。
あのアナ雪もアンデルセン童話が原作なのよ。
『アナ雪』では原作通り、北欧の雰囲気がそのまま作品に反映されていたわね。でも『リトルマーメイド』では、あえてそれをしなかったの。制作陣は、物語の舞台ごと地中海寄りのあたたかく陽気な海に変更したのよ。
なぜかって? それは作品を明るくしたかったから。
アリエルの髪色は燃える太陽のように明るく、性格もおてんばにしたわ。蟹のセバスチャンや熱帯魚っぽいフランダーを仲間にして、魚介類を可愛いお友達に変えた。明るい『リトルマーメイド』の世界爆誕ってわけ。
たしかに北欧の凍ってしまいそうな暗い海は、エルサにはぴったりだけど、アリエルには合わないわね。

薄暗い海でアンダーザシーとか勘弁よね
もしディズニーがリトルマーメイドを原作どおりにしていたら……
もし、ディズニーがリトルマーメイドの舞台を原作どおり北欧にしていたら、世界観はまったく違うものになっていたんじゃないかしら。
北欧の厳しい海で陽気な「アンダーザシー」の歌はありえない。アリエルも無邪気に人間になって王子様を追いかけたりはせず、エルサみたいに “Let It Go” と言いながら海の女王に君臨したかもしれわね(笑)
アリエルやアナ雪などディズニープリンセスの出身国をもっとくわしく▽