ルンペルスティルツスキンの原作グリム童話とは『ワンスアポンアタイム』考察

ディズニーの海外ドラマ『ワンスアポンアタイム』にルンペルスティルツスキンというキャラクターが出てきます。ドラマにはディズニー映画の登場人物たちがたくさん登場しますが、ルンペルスティルツスキンは主要キャラであるにも関わらず、ディズニーには存在しないキャラクターです。

気になったので、原作についてくわしく調べてみました。

ワンスアポンタイム・ルンペルスティルツスキンの原作とは?

ワンスアポンアタイムのキャラクター「ルンペルスティルツスキン」は、ドイツ・グリム童話「ルンペルシュティルツヒェン」に出てくる同名のキャラクターがもとになっている。

ルンペルスティルツスキンの画像
ルンペルスティルツスキンの画像|パブリックドメイン

↑画像:女性の後方で扉から顔をのぞかせている小人のような男がルンペルスティルツスキンである。

それでは、原作のあらすじをみていきましょう。

グリム童話「ルンペルシュティルツヒェン」のあらすじ

昔むかし、貧しい粉挽きが王に「うちの娘はワラを紡いで金に変えることが出来る」と嘘をついた。王様は娘を糸車とワラとともに塔に閉じ込め「ワラを金に変えてみろ」と言った。それができれば、娘を王妃にすると約束した。

しかし、娘はそんなことできないので困り果てる。
そこへ小人がやってきて「最初に授かった子供と引き換えにワラを金に変えてやる」と言った。娘は小人との取引に応じ、王妃になった。

数年後、子を授かった王妃のもとに小人が訪れる。約束通り、赤ん坊を奪いにきたのだ。王妃の懇願を受けた小人は「三日後までにおれの名前を当てられたら子供を連れて行かない」と約束する。

しかし、小人の名前を誰も知らない。
困っていると、王が森で奇妙な歌を歌う小人を見たと言う。「今日はパン焼き 明日はビール作り 明後日は女王の子を迎えに おれ様の名前がルンペルシュティルツヒェンだとは うまいことに誰もご存知ない」。

なんと、小人が歌っていたのは自分の名前(ルンペルシュティルツヒェン)だった。

約束の日、子供を連れ去りにやってきた小人は王妃に名前を言い当てられて激昂する。「お前は悪魔から聞いたな! お前は悪魔から聞いたな!」と地団駄を踏み、逆上の余り自分で自分を引き裂いてしまう。

(参考:wikipedia 『ルンペルシュティルツヒェン』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%92%E3%82%A7%E3%83%B3)

ルンペルスティルツスキンは、ゴブリン小人として描かれています。ずるい妖怪や小悪魔のようなものというか、あまり可愛らしい生き物ではなさそうですね。

しかし、原作を読んでみると、なんだか少し可哀想な気もします。子供を渡すと約束したのは娘なのに、いざ子供をさらいに来たら抵抗されるとは……。

「ルンペルシュティルツヒェン」は妖怪? 語源と意味

ルンペルシュティルツヒェン (Rumpelstilzchen) の語源

“Rumpel(ルンペル)”の意味=ガタゴトうるさい音
“Stilz”の意味=柱
末尾の“-chen” は擬人化する時の敬称。日本語でいうなら「〇〇太郎」とか「〇〇小僧」にあたる。

ルンペルスティルツスキンはゴブリンの一種

「ルンペルシュティルツ」とはゴブリンの一種で、柱をガタガタ鳴らす妖怪。ポルターガイストみたいな現象をさしてそう呼ぶことも。

ハリーポッターにも出てくる「名前の神秘」とは

悪に堕ちる

「名前」は西洋世界やファンタジー世界では大きな意味を持つ。名前を知れば相手を支配できる、または、名前を呼ぶと(好ましくない)相手が召喚される、という概念が存在するからだ。

有名な例として、ハリーポッターではヴォルデモートを「名前を言ってはいけないあの人」と呼ぶ。

ルンペルスティルツスキンの童話も名前の神秘にまつわる話だ。ワンスアポンアタイムのルンペルスティルツスキンもことあるごとに名前を知りたがる。名前を知っていれば呪いをかけられるが、名前を知らない人には手が出せないのである。

ディズニー版『ワンスアポンアタイム』のルンペルスティルツスキンとは?

御伽話の原作

ディズニー版とグリム童話版の似ている点

  • 『ワンスアポンアタイム』でも「名前の神秘」は継承されている。「ルンペルスティルツスキン」と唱えるだけで、彼が現れ、取引に応じる。
  • ディズニー版ルンペルもワラを金に変えることができる
  • 粉挽き娘が王様のために金を紡ぐというあらすじは、原作のグリム童話がそのままドラマに採用されている。レジーナの母親コーラの物語で見ることができる(シーズン2第16話「粉ひきの娘」)
  • 「生まれてくる子供をもらう」という契約もよく出てくる。白雪姫、コーラ、そして、ルンペルスティルツスキン本人も過去に同じ契約を交わしていた。みんな子供を使うのはほどほどに。
  • グリム童話原作でも「代わりになにをくれる?」とゴブリンが言っているが、ディズニー版でもルンペルスティルツスキンとの契約にはいつでも対価がつきまとう。

ディズニー版とグリム童話版の違い

ディズニードラマ版のルンペルスティルツスキンはゴブリンではなく、人である。

明確に言うと、普通の人間ではなく、強力な魔力を持つとされる闇王という設定。闇王の魔力は短剣に込められており、短剣で刺されない限りは死なない。短剣で刺殺すとその人が次の闇王になる。反面、短剣を持った人に操られてしまうという弱点もある。

肌の皮膚は、ゴブリンのようなワニの皮のような質感と色をしている。ルンペルは『ピーターパン』のワニ、『美女と野獣』の野獣という複数の役割を持っている。

ワンスアポンアタイムには過去のおとぎ話世界と現実世界が存在する。現実世界のルンペルは、ミスターゴールドという。

ルンペルスティルツスキン演じるロバート・カーライルは、ルンペルの時と人間・ミスターゴールドの時を巧妙に演じ分けている。
ゴールド氏はスクルージのような金持ち紳士だが、ルンペルはおどけた仕草でゴブリンを彷彿させる。

『ワンスアポンアタイム』のルンペルとゴールドについてもっと知りたい

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